星のこだま

天体撮影を中心につぶやきます。

ASIAIRでの天体撮影

先週は、久しぶりに夜間、晴れたので天体撮影に行きました。かねてより取り寄せてあったASIAIRでの撮影に初トライしました。
ASIAIRと改造AP赤道儀RS232C-USB接続、SkySafariへのブリッジ機能、Plate Solvingによる同期、冷却CMOS+EFWでの撮影など、一通りのことは試すことができました。

 

まずは、撮影結果から。カシオペア座のハート星雲 IC1805 & 胎児星雲 IC1848です。

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f:id:star-echo:20181120182415j:plain11月15日撮影 ASO(上)、SAO(下)
 SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 + ASI1600M Pro  ‐20℃ ZWO社製フィルター
 Hα:O3:S2 =  6枚: 8枚:6枚(各180sec)= 18min:24min:18min Total 60分
 自動導入改造AP赤道儀+ASI290MM mini (50mm Cマウントレンズ)でオートガイド

今回は、ダークファイルの準備が間に合わなかったので、-20℃に冷却することでダーク補正を省きました。ややノイジーですが、まずまずだと感じます。F2.8レンズでの撮影だったので、露光時間の割にはよく写ったと思います。

 

撮影から赤道儀のコントロール、オートガイドまですべてASIAIRから行いましたが、とてもスムーズでした。Wifiで遠隔操作できるので、設置さえしてしまえば車の中で暖房にあたりながらコントロールできて快適でした。

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上の写真は、今回使用したシステムです。撮影用メインカメラのASI1600MM ProにEFWとガイドカメラからのUSBケーブルを集めて、メインカメラからUSBをASIAIRに接続します。また、赤道儀RS232CポートからUSB変換ケーブルでASIAIRに接続します。これまで、Bluetoothスマホと接続していましたが、ASIAIR経由のWifi接続の方が接続や認識はスムーズでした。

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接続の設定は、これまでのSkySafariでの設定と同じく、Meade LX200 Classicです。アライメントやPlate Solving+SkySafari同期をとっていないので、Currentの赤経赤緯の表示はいい加減ですが、実際にアライメントして同期をとる正確に表示されます。

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SkySafari側は、このような感じになります。ASIAIR側のPlate Solevingで同期をとれば、お互いをシンクロさせることができます。Plate Solevingは、撮影した写真から恒星配置パターンを解析して星図上の位置を確定してくれる機能で、とても秀逸です。iPhone7でおおよそ数秒で解析が完了します。解析した後は、赤経赤緯の値が表示され、Sync MountをクリックするとSkySafariに同期されます。この機能のおかげで、アライメント星にレンズをおおよそ向けて、Plate Soleving+同期させた後、ずれを補正すれば写野のほぼ真ん中に基準星が入ってきますので、アライメントがとても楽です。ファインダーはなくてもよいのではないかと思うくらいです。撮影対象の導入も、最初の導入の後、Plate Solevingを行ってずれを補正すれば楽に導入できますし、構図の調整も楽です。

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撮影中の画面は、このようになります。Autorunの機能もあり、フィルターのコントロールもできます。オートガイドは、PHDに似たようなインターフェースで、パラメータの名称も似ているように思いました。今回は、キャリブレーションがあまりうまくいかず、ガイドは荒れてしまいました。M-GENに比べるとキャリブレーションにはかなり時間がかかる印象で、XY軸もなかなか直交してくれませんでした。赤道儀側でのバランス調整など、今後の課題だと思います。

 

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今回は、ガイドシステムを親子亀方式で同架するのが難しかったので、上記のようなクランプ付きスライドレールとデュアルクランプを組み合わせて撮影レンズとガイドカメラを同架しました。レール側のクランプに撮影システム、デュアルクランプ側にガイドシステムを乗せました。デュアルクランプは、裏表にクランプ溝が直交する形で配置してあり、スライドレール上の任意の位置で固定可能なので便利です。同架用のプレートに比べてかなり軽量です。

 

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最近、バッテリーは、このsuaoki S270 40540mAh/150Whを使用しています。小型のポータブルバッテリーで、モバイルバッテリーと同様のセル電池を使用していますが、十分な容量があります。DC5V-USB出力×4(うち1つは、QC3.0A)、DC12V出力×4、AC100Vを備えており、とても便利です。QC3.0Aからの給電でASIAIRは問題なく動作しました(2.1A出力では動作しません)。今回の撮影システム程度であれば、2~3晩くらいは充電なしでも大丈夫そうでした。

150Wh(160Wh以内)なので、2つまで飛行機内に持ち込み可能です。軽量ながら大容量なので、SG-3500LEDなど鉛シール蓄電池のポータブルバッテリーの出番は徐々に減ってしまいそうです。

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また、このように18V出力の太陽電池でも充電が可能です。写真を撮った日は、薄曇りだったのであまり出力が出ませんでしたが、晴れていれば1.0~2.0A程度は出そうなので(上の写真の太陽電池は60W出力)、継ぎ足し充電であれば実用的と思われます。キャンプなどでの活躍を期待しています。

 

以上のようにASIAIRとAP赤道儀の撮影システムは、軽量省電力で撮影やガイドのコントロールも快適です。また、Plate Solvingもとても秀逸です。今後のアップデートでは、一眼デジカメのコントロールやディザリングも実装されるかもしれません。軽量小型の高性能バッテリーなども含めて撮影システムの軽量化も図れました。以前と比べると本当に天体撮影環境も変わったと感じています。