星のこだま

天体撮影を中心につぶやきます。

春の系外銀河 その2 - Live Stack撮影 -

3月8日の夜は快晴でほぼ無風状態だったので、天体撮影に行きました。対象は、前回に続き春の系外銀河です。
空気は乾燥しており、レンズヒーターにより結露も全く認めなかったのですが、急激な気温の変化により撮影途中でピントがずれてしまい、星像が甘くなってしまいました。そのためか背景もかなりあれてしまったため、今回はフラットエイドも併用して画像処理しました。

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2019/3/8撮影 おおぐま座 M97(ふくろう星雲)とM108銀河
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 90コマ Live stack Gain255 総露光時間90分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7、フラットエイドにて画像処理

まず、19時半頃からM97とM108を撮影しました。最初はまだ気温が高く春らしい感じでしたが、次第に冷え込んできました。少しづつFWHMが上昇してきたことが気にはなりましたが、ガイドのせいだと思い込んでしまいました。この時点では、ピントはさほどずれてはいませんでしたが、まだ高度が低めだったので背景がかぶってしまいました。それでもカラーCMOSでM97の色合いがよく出たと感じています。

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2019/3/8撮影 しし座 3銀河 M66、M65、NGC3628
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 100コマ Live stack Gain255 総露光時間100分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7、フラットエイドにて画像処理

続いて、しし座の銀河を撮影しました。この頃から急激に気温が下がり、かなり冷え込んできました。ピントはかなりずれてしまったようです。背景もかなりあれていました。本当は、各対象の間でピント確認をするべきなのですが、このあたり私はまだ未熟なようです。
ここまでの2対象は、フラットエイドを併用させていただきました。画像処理になるべく人為的な恣意性が入らないようにして、再現性を担保するために、星マスクは条件を決めて全自動、星雲・銀河は円またはなるべく楕円に近づけてマスクするようにしました。得られたマスク画像にガウスぼかしをかけた画像でフラット処理をしたところ、かなり処理が楽になりました。しばらくの間、フラットエイドは使用せずに画像処理をしていましたが、改めてその威力に感嘆しました。

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2019/3/9撮影 おとめ座 銀河団中心部 M86、M84、NGC4387ほか
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 60コマ Live stack Gain255 総露光時間60分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7にて画像処理

最後に、おとめ座銀河団(マルカリアンの銀河鎖)の主要部分を撮影しました。この領域は銀河も多いため、フラットエイドは併用せずに画像処理しました。背景はかぶっていますが、この時間にはかなり高度が上がっていたのでなんとかなりました。

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このマルカリアンの銀河鎖の画像は、3年ほど前にAstro6Dで撮影したものです。今回撮影した部分は、おおよそ四角で囲った部分にあたります。たくさんの系外銀河が集まっている領域で、宇宙の深遠さを感じます。

以上、色々とありましたが、なんとか撮影・画像処理できました。これまで屈折鏡やカメラレンズを使用してきて、撮影中にピントがずれた経験がなかったので油断しました。というより、これまでもピントのずれはあったのかもしれませんが、気づかなかっただけかもしれません。春先のこの時期は、とくに気温の変化が激しいので注意が必要だと痛感しました。それにしても、フラットエイドは秀逸なソフトだと改めて感じました。惑星状星雲や小さい銀河など、星以外の天体が少なくて限局的であれば、強力なツールになると思いました。