星のこだま

天体撮影を中心につぶやきます。

ブログ移転のお知らせ

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この度、当ブログ移転を移転することになりました。

 

2018年の春から2019年の春まで、天体写真を中心に記事を掲載させていただきました。

仕事の都合などで、約1年ほど更新が止まってしまいました。

新たなサイトでは、これまでの天体関連の記事に加え、野鳥・草花・風景なども掲載していきます。

 

移転後のサイト名およびアドレスは、

「フォトファン7」

https://photofun7.com

となります。

公開は、5月初旬を予定しております。

 

はてなブログのサイトも、しばらくはアクセス可能ですが、新しいサイトを公開後にリダイレクトする予定です。

 

今後ともよろしくお願いいたします。

春の系外銀河とさそり座

4月4日の夜は、ほぼ新月でした。SCW天気予報を見ても夜通し快晴で風速も落ち着いていたので、5日は休暇を取って天体撮影することにしました。といっても遠征はできないので、いつもの光害地での撮影です。
対象は、春の系外銀河とさそり座(アンタレス付近)です。系外銀河は、C5とASI178MCの組み合わせを試してみました。さそり座は、STC Astro Duoナローバンドフィルターでの撮影です。

f:id:star-echo:20190405231411j:plain2019/4/4 23:30-撮影 おとめ座 M104(ソンブレロ銀河)
Celestron C5 + Vixenコマコレクター3 + kenkoクローズアップレンズNo.3 → 1000mm F8相当
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり 60sec × 85 total 85min
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
DeepSkyStacker、ステライメージ7にて画像処理

C5と1/1.8型CMOSセンサーカメラの組み合わせです。拡大率は大きいですが、やはりかなり暗くLive Stackは無理だったので、多数枚撮影をコンポジットしました。M104のような明るめのエッジオン銀河はなんとか撮影できましたが、同日撮影したM90とM95は暗すぎて画像処理できませんでした。さすがにフェイスオン銀河は、短時間露光では無理だったようです。なお、補正板のヒーターは、今回はジムケンドリック製の12Vのものを使用しました。おかげで今回は、全く結露しませんでした。やはり、5VのUSBヒーターではシュミカセの補正板には少し非力なようです。

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2019/4/5 2:30-3:20撮影 さそり座(アンタレス付近)
SIGMA APO MACRO 150mm F2.8  + STC Astro Duoナローバンドフィルター
冷却改造6D ISO1600 3min × 16 total 48分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド、ディザリング
DeepSkyStacker、ステライメージ7、Photoshop Elementsにて画像処理

光害地で低高度なのでSTC Astro Duoナローバンドフィルターを使用して撮影してみました。子午線越えの関係から、今回は48分の総露光時間しか取れませんでした。やはり、露光不足で全体的にザラザラしています。カラーバランスも難しいです。ELフラット画像による補正は効果的でした。強烈なカブリがありましたが、フラット補正のおかげで処理できました。次は自動導入改造AP赤道儀で子午線をまたいで、もう少し露光時間を稼いで撮影してみたいと考えています。

以上、4月4日夜から5日未明にかけての撮影でした。新月期で夜通し快晴、透明度なども比較的良好でした。このような条件は、年に数回しかない貴重なものだと思います。今回もいろいろと試すことができたので、次回以降が楽しみです。

ASIAIRのアップデート

先日、ASIAIRアプリ(バージョン1.0.9)とファームウェアのアップデートが公開されました。今回は、一眼デジカメ(DSLR)に対応するなど、大幅な改良がありました。早速、アップデートして動作を確認してみました。

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メインカメラとなる冷却改造6DとASIAIRをカメラ付属のPC接続ケーブル(USB Mini-B → Type A)で接続します。赤道儀やガイドカメラも一緒に組んでみました。

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EOS6Dを選択して、Enterをする。

f:id:star-echo:20190331180800p:plain接続されて、このように表示されます。

f:id:star-echo:20190331181456j:plainISO感度や露出時間の設定もASIAIRアプリから可能です。画像のDownload時間もストレスのない範囲で、ピント合わせも楽にできそうです。Plate Solveも可能なようです。

f:id:star-echo:20190331181805p:plain1s露出の画像を読み込んだところです。温度やバッテリー残量なども表示されます。
このように、赤道儀のコントロールやPlate Solveなどとのコンビネーションも相まって、かなり使い勝手の良いシステムになりそうです。ただし、保存されるファイル形式がFITSになるので、いままでのようなRAWファイルの画像処理プロトコールとは変わる部分があるのは、要注意だと思われます。

f:id:star-echo:20190401154029p:plain自動導入改造AP赤道儀(MTS-3)との接続は、これまでのMeade LX200 classicの設定で問題なく行えました。この状態で、SkySafariと連携して自動導入もできます。

f:id:star-echo:20190331195614p:plainただし、前回のアップデート以降、オートガイド時はOn-Camera-ST4にした方が安定するようでした。今回も検証する必要がありそうです。


f:id:star-echo:20190331185906p:plainその他、今回は赤道儀についてもVixen StarBookへの対応がありました。もしかして、StarBook TENでもと思い、クロスLANケーブルで接続してみましたが...

f:id:star-echo:20190331190207j:plain残念ながら、ダメなようでした。おそらく今回は、初代StarBookへの対応なのだと思われます。それでも、接続方式がHTTPとあることからして、StarBookとPCをクロスLANケーブルで接続する従来の方式になるのではないかと考えられます。今後のアップデートでSrarBook TENへの対応も期待したいところです。SrarBook TEN・SXP赤道儀にも対応するようになれば、少し重量のある機材や風が強い日などにも対応できそうです。

以上、ASIAIRアプリおよびファームウエアをアップデートして、とりあえず動作確認をしてみました。一眼デジカメに対応したことで、撮影の幅が広がると思われます。保存ファイルやその後の画像処理、オートガイド時の設定など課題はあると思われますが、実戦投入がとても楽しみです。

M63 ひまわり銀河 - セレストロンC5での撮影 -

3月12日の夜は、翌日が休みだったので少し遠出しました。房総半島のいすみ市です。SCW天気予報から一晩中、晴れそうなのはこの地方でした。
久しぶりにセレストロンC5での撮影を行いました。対象は、M63(ひまわり銀河)です。改めてコマコレクターによる周辺像改善の評価もできました。

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3/12-13撮影 りょうけん座 M63 ひまわり銀河
Celestron C5 + Vixenコマコレクター3 + kenkoクローズアップレンズNo.3 → 1000mm F8相当
ZWO ASI1600MM Pro -10℃  LPS-P2フィルターあり
L 180sec × 30コマ RGB(bin2) 180sec × 各々6 ,4 ,4コマ Gain255 総露光時間132分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7にて画像処理

普段の撮影地と違って空は暗く、カブリはほとんど認めませんでした。今回はLive Stackではなく、通常の露光とLRGB合成を行うことができました。ただ、RGB撮像を開始した0時過ぎあたりから薄雲が通過し始めたのと、急激な温度変化から補正板が若干結露してしまいました。かなりの枚数を撮影した中からなんとか使えそうな画像をピックアップして画像処理しました。周辺減光やカラーバンスは、補正しきれませんでした。それでもどうにか、ひまわり銀河の姿をとらえることができました。

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こちらは、LRGB各画像ごとにフラットエイドで補正して合成したものです。薄雲や結露の影響が大幅に軽威されます。周辺減光も補正されて、やはりきれいになります。

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周辺像・中心像の拡大切り出し画像です。コンポジット、カラー合成によるずれをトリミングした後のものです。昨年試みたコマコレクターと撮像センサー間の距離調整をした方法によるものです。完全ではないですが、やはり周辺像は、当初と比べるとかなり改善していると感じます。中心像は、シャープでなかなか良いと思います。

f:id:star-echo:20190316173903j:plainピント合わせ時に試写した月です。L画像のワンショットで、1/250sec露光、中心部を正方形にトリミングしたものです。シーイングもなかなか良かったと思います。

以上、久しぶりのプチ遠征でした。初めての土地で、撮影場所の選定に手間取りましたが、なかなか素晴らしい星空で撮影することができました。春先の条件としてはかなり良かったと思いますが、やはり補正板の結露対策や周辺減光補正などシュミカセはなかなか難しいと感じました。

春の系外銀河 その2 - Live Stack撮影 -

3月8日の夜は快晴でほぼ無風状態だったので、天体撮影に行きました。対象は、前回に続き春の系外銀河です。
空気は乾燥しており、レンズヒーターにより結露も全く認めなかったのですが、急激な気温の変化により撮影途中でピントがずれてしまい、星像が甘くなってしまいました。そのためか背景もかなりあれてしまったため、今回はフラットエイドも併用して画像処理しました。

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2019/3/8撮影 おおぐま座 M97(ふくろう星雲)とM108銀河
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 90コマ Live stack Gain255 総露光時間90分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7、フラットエイドにて画像処理

まず、19時半頃からM97とM108を撮影しました。最初はまだ気温が高く春らしい感じでしたが、次第に冷え込んできました。少しづつFWHMが上昇してきたことが気にはなりましたが、ガイドのせいだと思い込んでしまいました。この時点では、ピントはさほどずれてはいませんでしたが、まだ高度が低めだったので背景がかぶってしまいました。それでもカラーCMOSでM97の色合いがよく出たと感じています。

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2019/3/8撮影 しし座 3銀河 M66、M65、NGC3628
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 100コマ Live stack Gain255 総露光時間100分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7、フラットエイドにて画像処理

続いて、しし座の銀河を撮影しました。この頃から急激に気温が下がり、かなり冷え込んできました。ピントはかなりずれてしまったようです。背景もかなりあれていました。本当は、各対象の間でピント確認をするべきなのですが、このあたり私はまだ未熟なようです。
ここまでの2対象は、フラットエイドを併用させていただきました。画像処理になるべく人為的な恣意性が入らないようにして、再現性を担保するために、星マスクは条件を決めて全自動、星雲・銀河は円またはなるべく楕円に近づけてマスクするようにしました。得られたマスク画像にガウスぼかしをかけた画像でフラット処理をしたところ、かなり処理が楽になりました。しばらくの間、フラットエイドは使用せずに画像処理をしていましたが、改めてその威力に感嘆しました。

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2019/3/9撮影 おとめ座 銀河団中心部 M86、M84、NGC4387ほか
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 60コマ Live stack Gain255 総露光時間60分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド
ステライメージ7にて画像処理

最後に、おとめ座銀河団(マルカリアンの銀河鎖)の主要部分を撮影しました。この領域は銀河も多いため、フラットエイドは併用せずに画像処理しました。背景はかぶっていますが、この時間にはかなり高度が上がっていたのでなんとかなりました。

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このマルカリアンの銀河鎖の画像は、3年ほど前にAstro6Dで撮影したものです。今回撮影した部分は、おおよそ四角で囲った部分にあたります。たくさんの系外銀河が集まっている領域で、宇宙の深遠さを感じます。

以上、色々とありましたが、なんとか撮影・画像処理できました。これまで屈折鏡やカメラレンズを使用してきて、撮影中にピントがずれた経験がなかったので油断しました。というより、これまでもピントのずれはあったのかもしれませんが、気づかなかっただけかもしれません。春先のこの時期は、とくに気温の変化が激しいので注意が必要だと痛感しました。それにしても、フラットエイドは秀逸なソフトだと改めて感じました。惑星状星雲や小さい銀河など、星以外の天体が少なくて限局的であれば、強力なツールになると思いました。

春の系外銀河 - Live Stack撮影 -

金曜日の夜は、どうにか晴れたので天体撮影に行きました。
時折、薄雲が通り過ぎる空だったので中断を繰り返しながらでしたが、どうにか代表的な春の系外銀河を撮影できました。

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2019/3/1撮影 おおぐま座 M81(渦巻き銀河)とM82(スターバースト銀河
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 70コマ Live stack Gain255 総露光時間70分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド

まず初めに21時ごろからM81 & M82を撮影しました。この時間帯が一番空の状態が良かったようで、FWHMもオートガイドも安定していました。星像や背景にも表れています。

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2019/3/1-2撮影 おおぐま座 M51(子持ち銀河)
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 80コマ Live stack Gain255 総露光時間80分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド

次にM51を撮影しました。薄雲が通り過ぎるのを監視しながら、時々中断しての撮影でした。一見すると晴れているようでも薄雲や霞があったようで、次第にFWHMやオートガイドが不安定になってきました。最初のM81 & M82に比べると全体的に解像感の低下や星像の肥大がみられます。

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2019/3/2撮影 おおぐま座 M101(回転花火銀河)
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 45コマ Live stack Gain255 総露光時間45分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド

最後にM101です。かなり解像度が落ちてきてしまっています。空の状態の悪化に加えて、バッテリー残量の低下により赤道儀の動作が不安定になってしまいました。60分ほど露光したところで赤道儀の電源が落ちてしまいましたが、それまで気づきませんでした。これまで、このようなことはなかったので、油断していました。45分以降の画像は、乱れているので残念ながらここまでの画像を処理してどうにかみられる画像にしました。改めてリベンジしたいところです。

何とか、かけあしで3つの対象を撮影しました。雲の通過での中断もあり、2時半ごろまでかかってしまいました。低気温でのバッテリー管理など、改めて気を付けなくてはならないと感じました。赤道儀CMOSカメラより、PCの方が電源を食うようです。今の時期は、天気やシーイングにはなかなか恵まれませんが、次はしし座やおとめ座の銀河も狙ってみたいところです。


きりん座 NGC2403 - Live Stack撮影

昨晩は、久しぶりに晴れて風も落ち着いていたので、天体撮影に行きました。
といっても、まだ月が明るい時期なので、月の出までの短い時間でした。
対象は、春の?というより冬の終わりの系外銀河NGC2403です。きりん座というあまり知られていない星座にある銀河ですが、時間的にも高度的にも最適でした。
また、LiveStack撮影でのリアルタイムダーク減算・フラット補正も試すことができました。

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きりん座 NGC2403 2019/2/23撮影
KOWA PROMINAR 500mm F5.6 FL + TX07T → 350mm F3.9
ZWO ASI178MC-Cool -20℃  LPS-P2フィルターあり
SharpCapにて60sec 60コマ Live stack Gain255 総露光時間60分
Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド+コーワLM100JCにてオートガイド

露光時間60分では、さすがに露光不足で淡い銀河の腕は、はっきりしません。ただ、ダーク減算・フラット補正をしながらコンポジットしていったため、かなりの強調処理に耐えることができました。60秒のLiveStackなので、光害カブリもほとんどありませんでした。光学系の性能とカメラのチップサイズからすると必ずしもフラット補正は必要ないと思われますが、背景ムラやアンプノイズの軽減に寄与してくれたように感じます。放射状の盛大なアンプノイズは、ほぼ消失しました。ただ、やはりこのカメラは、四隅にどうしてもアンプノイズがでるので、少しトリミングしています。
注意点としては、ダークファイルはFITSでよいのですが、フラットファイルはTIFFでないと読めないようです。これに気づくまでに大分かかりました。

前回(1/11-12)の撮影以降、天候などに恵まれず、なかなか天体撮影できませんでした。今回は短い時間でしたが、リアルタイムのダーク減算・フラット補正も試すことができました。また、小さいチップサイズのカメラで拡大率を稼いで小さな天体を撮影する感覚もつかめてきました。もっと露光時間を稼げれば淡い部分まで写ると感じます。次の新月期には、春の系外銀河を狙っていきたいと考えています。天候に恵まれることを祈るばかりです。