星見道楽

天体撮影を中心につぶやきます。

New FD 300mm F2.8LとSTC Astro Duoナローバンドフィルターでの天体撮影

昨晩は、ようやく晴れてきれいな夜空に恵まれたので、天体撮影に行きました。試してみたかったSTC Astro Duoナローバンドフィルターでの撮影です。また、このような透過光域の狭い、暗いフィルターのために調達したNew FD 300mm F2.8Lの星像も試してみました。

さらに今回は、冷却改造EOS6Dでの撮影でしたが、あえてこれまで使ってきたM-GENでのガイドではなく、ASIAIRでのガイドとしました。ガイドカメラのASI290MM miniをメインカメラにして撮影、Plate SolvingにてSkySafariと同期・アライメントをしたのち、ガイドカメラに設定しなおしてキャリブレーション、ガイドを行いました。このメイン→ガイドのスイッチがうまくいくかどうかを試すのも今回の目的でした。結果として、このような使い方も可能なことがわかりました。

 

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12/10撮影 オリオン座 馬頭星雲~M78~バーナードループの一部

ASTRO6D + New FD 300mm F2.8L + STC Astro Duoナローバンドフィルター

3min × 15 総露光時間45分 

自動導入改造AP赤道儀 + ASI290MM mini(75mm Cマウントレンズ)にてオートガイド

 

New FD 300mm F2.8Lは、30年以上前のレンズですが、さすがにサンニッパだけのことはあって明るくてもシャープだと感じます。フローライトだけあって色収差も少ないと感じます。STC Astro Duoナローバンドフィルターは、RGB各色でピント位置がずれやすいので、軸上色収差の多いレンズではイクラ現象が起きやすいようですが、このレンズではそれも目立ちにくいようです。ただ、このフィルターはやはりカラーバランスを整えるのが難しいです。6Dとの接続は、光映舎のFD→EFアダプターを介して無限遠の合焦を得ています。絞りは使えなくなるので開放F2.8のみとなりますが、カメラ回転も容易で使いやすいアダプターです。

 

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 New FD 300mm F2.8LとSTC Astro Duoナローバンドフィルター、冷却改造6Dの組み合わせによるフラット画像です。この画像によってフラット補正を行うとかなりの強調処理にも耐えるようになってくれます。今回もかなりの光害地での撮影でしたが、フィルターによる強力な光害カット効果とフラット補正により、単純なカブリ補正のみで強調処理ができました。

 

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前回に引き続き、ASIAIRと改造AP赤道儀の組み合わせにて撮影を行いました。ASIAIRとの接続やPlate Solvingによる同期、自動導入はスムーズに行えました。ただ、オートガイドは、まだ安定しない傾向にあります。概ね2秒角以内には収まりますが、突然、パルス状に乱れたり、グラフ外に振れたりします。おそらく、機材の設置画像にあるようにケーブルが多くてバランスが取りにくく、ガイド中にもケーブルが動いたりすることが影響しているようです。キャリブレーションも改善はしましたが、完全には直交しません。このあたりがAP赤道儀の難しいところなのかもしません。ただ、PROMINARとM-GENの組み合わせでは安定していたので、ケーブルの取り回しなどをもう少し工夫すれば改善すると思われます。今後の課題です。


それでも、今回はASIAIRにて、ガイドカメラをメインカメラにして撮影→Plate Solving→同期・アライメント、ガイドカメラに戻してオートガイドというスイッチングが可能なことがわかりました。今後のソフトウェアアップデートで一眼デジカメのコントロールやディザリングにも対応するようになれば、より使い勝手がよくなり、ノイズの少ない画像が撮れるようになると期待しています。

 

ASIAIRでの天体撮影

先週は、久しぶりに夜間、晴れたので天体撮影に行きました。かねてより取り寄せてあったASIAIRでの撮影に初トライしました。

ASIAIRと改造AP赤道儀RS232C-USB接続、SkySafariへのブリッジ機能、Plate Solvingによる同期、冷却CMOS+EFWでの撮影など、一通りのことは試すことができました。

 

まずは、撮影結果から。カシオペア座のハート星雲 IC1805 & 胎児星雲 IC1848です。

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11月15日撮影 ASO(上)、SAO(下)

SIGMA APO MACRO 150mm F2.8 + ASI1600M Pro  ‐20℃ ZWO社製フィルター

Hα:O3:S2 =  6枚: 8枚:6枚(各180sec)= 18min:24min:18min Total 60分

自動導入改造AP赤道儀+ASI290MM mini (50mm Cマウントレンズ)でオートガイド

今回は、ダークファイルの準備が間に合わなかったので、-20℃に冷却することでダーク補正を省きました。ややノイジーですが、まずまずだと感じます。F2.8レンズでの撮影だったので、露光時間の割にはよく写ったと思います。

 

撮影から赤道儀のコントロール、オートガイドまですべてASIAIRから行いましたが、とてもスムーズでした。Wifiで遠隔操作できるので、設置さえしてしまえば車の中で暖房にあたりながらコントロールできて快適でした。

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上の写真は、今回使用したシステムです。撮影用メインカメラのASI1600MM ProにEFWとガイドカメラからのUSBケーブルを集めて、メインカメラからUSBをASIAIRに接続します。また、赤道儀RS232CポートからUSB変換ケーブルでASIAIRに接続します。これまで、Bluetoothスマホと接続していましたが、ASIAIR経由のWifi接続の方が接続や認識はスムーズでした。

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接続の設定は、これまでのSkySafariでの設定と同じく、Meade LX200 Classicです。アライメントやPlate Solving+SkySafari同期をとっていないので、Currentの赤経赤緯の表示はいい加減ですが、実際にアライメントして同期をとる正確に表示されます。

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SkySafari側は、このような感じになります。ASIAIR側のPlate Solevingで同期をとれば、お互いをシンクロさせることができます。Plate Solevingは、撮影した写真から恒星配置パターンを解析して星図上の位置を確定してくれる機能で、とても秀逸です。iPhone7でおおよそ数秒で解析が完了します。解析した後は、赤経赤緯の値が表示され、Sync MountをクリックするとSkySafariに同期されます。この機能のおかげで、アライメント星にレンズをおおよそ向けて、Plate Soleving+同期させた後、ずれを補正すれば写野のほぼ真ん中に基準星が入ってきますので、アライメントがとても楽です。ファインダーはなくてもよいのではないかと思うくらいです。撮影対象の導入も、最初の導入の後、Plate Solevingを行ってずれを補正すれば楽に導入できますし、構図の調整も楽です。

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撮影中の画面は、このようになります。Autorunの機能もあり、フィルターのコントロールもできます。オートガイドは、PHDに似たようなインターフェースで、パラメータの名称も似ているように思いました。今回は、キャリブレーションがあまりうまくいかず、ガイドは荒れてしまいました。M-GENに比べるとキャリブレーションにはかなり時間がかかる印象で、XY軸もなかなか直交してくれませんでした。赤道儀側でのバランス調整など、今後の課題だと思います。

 

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今回は、ガイドシステムを親子亀方式で同架するのが難しかったので、上記のようなクランプ付きスライドレールとデュアルクランプを組み合わせて撮影レンズとガイドカメラを同架しました。レール側のクランプに撮影システム、デュアルクランプ側にガイドシステムを乗せました。デュアルクランプは、裏表にクランプ溝が直交する形で配置してあり、スライドレール上の任意の位置で固定可能なので便利です。同架用のプレートに比べてかなり軽量です。

 

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最近、バッテリーは、このsuaoki S270 40540mAh/150Whを使用しています。小型のポータブルバッテリーで、モバイルバッテリーと同様のセル電池を使用していますが、十分な容量があります。DC5V-USB出力×4(うち1つは、QC3.0A)、DC12V出力×4、AC100Vを備えており、とても便利です。QC3.0Aからの給電でASIAIRは問題なく動作しました(2.1A出力では動作しません)。今回の撮影システム程度であれば、2~3晩くらいは充電なしでも大丈夫そうでした。

150Wh(160Wh以内)なので、2つまで飛行機内に持ち込み可能です。軽量ながら大容量なので、SG-3500LEDなど鉛シール蓄電池のポータブルバッテリーの出番は徐々に減ってしまいそうです。

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また、このように18V出力の太陽電池でも充電が可能です。写真を撮った日は、薄曇りだったのであまり出力が出ませんでしたが、晴れていれば1.0~2.0A程度は出そうなので(上の写真の太陽電池は60W出力)、継ぎ足し充電であれば実用的と思われます。キャンプなどでの活躍を期待しています。

 

以上のようにASIAIRとAP赤道儀の撮影システムは、軽量省電力で撮影やガイドのコントロールも快適です。また、Plate Solvingもとても秀逸です。今後のアップデートでは、一眼デジカメのコントロールやディザリングも実装されるかもしれません。軽量小型の高性能バッテリーなども含めて撮影システムの軽量化も図れました。以前と比べると本当に天体撮影環境も変わったと感じています。

 

 

シュミカセ鏡筒での初歩的なミス

先日(10月9日)は、本当に久しぶりの夜通し快晴でした。平日でしたが、貴重な晴れだったので天体撮影に行きました。

今回もC5の周辺像確認もかねての撮影でした。しかしながら、当日はものすごい夜露で、USBヒーターのパワーが少し足りなかったため途中から補正板がわずかに結露してしまったようです。撮影完了時に気づきました。画像処理の段階で、この結露の影響が思ったより大きく出てしまい、フラット補正やLRGB合成時の位置合わせなどがうまくいきませんでした。

当然、これまでも屈折望遠鏡やカメラレンズでも結露対策はしてきましたが、シュミカセは口径が少し大きいため、いつものUSBヒーターの電流調整では足りなかったようです。

アイリス星雲(NGC7023)を撮影しましたが、上記の理由からフラット補正やカラー合成がうまくいかず、残念な画像になってしまいました。やむを得ず、トリミングして何とかみられる程度にしたものです。

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アイリス星雲(NGC7023) 2018/10/9撮影

Celestron C5+Vexenコマコレクター3+Kenko Closeup No.3(約1000mm F8)

Vixen SXP赤道儀 + M-GENガイド
ZWO ASI1600MM Pro 冷却設定0℃ Livestack撮影 ZWO社フィルター LRGB合成

L 60s×70 RGB(bin2) 各60s×10 総露光時間100分

 

そして、ノートリミングのものです・・・

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これまでの撮影画像と比べると明らかにフラット補正がうまくいきませんでした。カラーバランス調整もうまくいきません。やはり、結露による影響と考えられます。

 

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C5用に使用している一番大きなUSBヒーターは、可変調整つまみがついています。中段がやや絞った状態で、下段が最大出力の状態です。普段は、中段の状態でも十分で、まったく結露することはありませんでしたが、先日はあまりに日中と夜間の気温差が大きかったようで、結露が激しかったです。いつもの撮影場所が川や田んぼの近くということも影響したと思われます。いかに結露に注意しなくてはならないかよい経験になりました。

 

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今回は、M42ヘリコイドを装着してコマコレクターと撮像センサーまでの距離を調整評価してみました。輝星(デネブ)を中心・四隅において調整してみました。あまりはっきりとした違いは確認できませんでしたが、上の写真のような位置が良いと思われました。おおよそ、21mm延長筒+BORG7423くらいの延長にあたります。最初に純正の0.63×RDで撮影した時に比べるとかなり改善していると感じます。もしかしたら、純正RDでも間隔調整をすれば周辺像が改善するかもしれません。

しかしながら、C5では、このあたりの周辺像補正が限界のようにも感じています。今後は、小さなセンサーで拡大率を稼いで、惑星・惑星状星雲・系外銀河などの撮影に使用することになると思います。広い写野は、PROMINARやカメラレンズで撮影しようと思います。

 

セレストロンC5の周辺像改善 その2

昨晩は、わずかな晴れ間を狙って天体撮影にいきました。新月期なのに天気が思わしくないので、少し無理してでも撮影に行きたかったのです。風が強かったので、車を風よけにするようにして機材を設置しました。撮影対象は、アイリス星雲(NGC7023)です。晴れ間が1時間ほどしか続かなかったのでL画像のみしか撮影できませんでしたが、それなりに収穫はありました。

シュミットカセグレンのコマコレクターによる周辺像改善についてさらに調べてみると、コマコレクターと撮像センサーまでの距離を延長する方向に調整すると良いという記載を見つけました。今回は、それを試してみました。

 

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2018/9/7撮影 ASI1600MM Pro ZWO社Lフィルター 60s × 30枚 LiveStack 総露光時間30分

今回は、コマコレクターとクローズアップレンズNo.3の組み合わせで、約1000mm F8となります。

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中心部と四隅の拡大です。かなり改善していると思われます。

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これまでの間隔延長調整なしの画像と比べると、像の肥大化やコマ収差が抑えられていると思われます。少なくとも、星が割れてしまうほどの酷い収差はなくなっています。

 

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参考にさせていただいた記事では、コマコレクターから撮像センサーまでの距離(フランジバック)を通常より25mm延長すると、ミード20cm F10鏡筒ではフルサイズの四隅までかなりコマが改善するというものでした。EOS6DにEF25という延長筒を使用されていました。これを参考にR200SS用回転リングと21mmのT2延長筒、バーダー製T2アダプターで試してみました。正確ではないですが、これで通常のEOSマウントアダプターを使用した時と比べて約25mm程度延長できていると考えられます。あとは、スペーサーなどで微調整すればもう少し改善するかもしれません。また、今回はクローズアップレンズNo.3を使用しましたが、No.4でも同様に改善が得られると思われます。さすがにC5では、フルサイズまでというのは無理だと思いますが、フォーサーズなら実用範囲になりそうです。

今回、コマコレクターと撮像センサーまでの間隔を調整すれば、C5でもかなり周辺像の改善がみられることがわかりました。その他にも、フラット補正後に副鏡の影と思われるドーナツ状の模様が目立ってしまうなど、解決しなくてはならない問題点がいくつかありますが、また少し前進したと思われます。

電源を考える

 天体撮影・天体観測をするうえで、欠かすことのできないものが電源(DC)だと思います。使用する機材によって容量の大小や電圧、電源の形態なども変わってくると思います。私の手持ちのバッテリーなどをご紹介しながら、電源について少し考えてみたいと思います。

 

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おなじみ?の大自工業/メルテックのポータブルバッテリーです。小~中型赤道儀や冷却CCD・CMOSカメラを使用される方でしたら、一度は使用されたことがあるのではないでしょうか。私も旧型のSG-3000DXと現行型のSG-3500LEDを所有しています。内蔵バッテリーは、シール式鉛蓄電池で基本的に12Vシガーソケット出力ですが、AC100Vのインバーターやセルブースト機能も備えています。旧型の方は長く使用しており、内蔵バッテリーを一度交換しています。容量はDC12V-20Ahと大容量で、SXPクラスの赤道儀、ノートPC、冷却CCDもしくはCMOSカメラの使用で、一晩の撮影なら冬季でも全く不足したことはありませんでした。一時期、冷却CCDを2台同時に使用していた時には、このバッテリー2台を同時に使用することもありましたが、最近ではSG-3500LEDを1台と補助の小型バッテリーでの使用が多くなりました。

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ノートPCを使用するときは、AC100VインバーターにACアダプターを接続して使用するとどうしてもポータブルバッテリーの消耗が速いので、DC-DCコンバーター(12Vから昇圧)を使用していました。19~20Vで大体のノートPCは対応できていたように思います。DCジャック径の変換コネクターを探すのは、少し苦労しました。最近は、さまざまなPC用の変換コネクターが販売されているようです。ノートPCは、あえて消費電力の低いCeleronSSDモデル)のものを使用していますが、CMOSカメラコントロール用のSharpCapや画像確認程度に使うステライメージくらいならストレスなく動いています。

メルテックのポータブルバッテリーは大容量、多機能ですが、やや重量があり、かさばることや鉛蓄電池を使用していることなどが欠点になりつつあると思われます。また最近では、小型赤道儀やUSBレンズ用ヒーター、M-GENなどをモバイルバッテリーで使用することが増えましたが、通常の5Vバッテリーだとどうしても容量不足(特にヒーター)になることもあったので、鉛蓄電池バッテリーとモバイルバッテリーの中間のようなバッテリーも導入しました。

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これは、ジャンプスターターとしての商品のようですが、モバイルバッテリーと同様のセル電池を使用しており、20,000mAhの容量があります。多彩な出力電圧があり、付属品も豊富です。5V(1.0A、2.0A 各1)、12V 10A、15V 1.0A、19V 3.5Aの出力があります。このため、赤道儀やノートPCなどにDC電源を直接供給することができます。充電は、付属のACアダプターでAC100Vコンセントから行います。

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こちらもリチウムイオン電池内蔵のポータブル電源で、27,000mAhの容量があります。AC100Vインバーター内蔵で、これにノートPC用アダプターを接続して使用することを想定した商品のようです。やはり、付属のACアダプターでAC100Vコンセントから充電します。

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AC100V-DC12Vアダプターを介してになりますが、赤道儀の高速駆動時など一時的に大きな消費電流を要する場合にも対応できます。

ところで、これらのバッテリーは、実際にどれくらい使用できるのでしょうか?

機材ごとに電圧や消費電流が違ったりするので、モバイルバッテリーなどの容量表示でよく見かける放電容量(AhもしくはmAh)だけでは評価できません。Wh容量(ワット時定格量)を求めて考えてみます。Ahは1時間に流すことのできる電流(A)で、Whは1時間に使用可能な電力(W)です。Wh = Ah × 電圧(V)となります。Whを消費電力(W)で割り算すれば、どれだけの時間使用可能か計算できます。一般的にリチウムイオン電池の内部電圧は、3.7Vです。また、表示容量の約7割程度が実際に使用可能な容量と言われているようです。

よって、27,000mAhのバッテリーでは、27Ah × 0.7 = 18.9Ah程度の容量で、18.9Ah × 3.7V = 69.9Wh、約70Whのワット時定格量になると考えられます。

カタログ上のSXP赤道儀の消費電流は、0.45~2.2A(10kg搭載時)のようですが、恒星時追尾時を0.45A、自動導入やアライメント、構図調整時などを2.2Aとして考えてみます。自動導入などに2.2Aを30分使用したとすると2.2A × 12V × 0.5h = 13.2Whとなりますので、残りのWh容量は、70 - 13.2 = 56.8Whとなります。これを恒星時追尾に使用すると56.8Wh ÷ 0.45A × 12V = 56.8Wh ÷ 5.4W = 10.5hで、約10時間半ほど使用可能な計算になります。専用バッテリー使用の一眼レフデジカメでの使用なら実用になりそうです。

冷却CMOSカメラを使用した場合も考えてみます。

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よく使用するASI1600MM Pro(もしくは旧ASI1600MM)のものと思われる消費電流曲線です。外気温との関係なども正確にはわかりませんが、この曲線から推定してみます。私は、0℃をターゲットにすることが多いですので、約0.4A~0.5Aになりそうです(冷却開始時などピーク時は一時的にもっと大きいと思われます)。フィルターホイールは、5V × 120mA = 0.6Wでフィルターチェンジの頻度は低いので無視します。0.4A~0.5A × 12V = 4.8~6.0Wの消費電力になりそうです。SXP赤道儀の恒星時追尾5.4Wと合計すると10.2~11.4Wで、56.8Wh ÷ 10.2~11.4W ≒ 5.0~5.5hとなります(インバーターによるロスでもう少し短いかもしれません)。季節にもよりますが、どうにか5時間くらいは使えそうです。ノートPCは、もともとの内蔵バッテリーもあるので、補助に20,000mAhのバッテリーを20Vに昇圧してつなげば同じく5~6時間は使えます。M-GEN・レンズヒーターは、モバイルバッテリーでも一晩使用可能です。よって、かなり心もとないですが、これらのバッテリーでもどうにか一晩は撮影できそうです。あるいは、20,000mAhの方にSXP赤道儀を単独で接続、27,000mAhの方に冷却CMOSカメラとノートPCを接続するほうが、長く持つかもしれません。いずれにしてもやはり、鉛蓄電池バッテリーの20Ah × 12V = 240Whは、0.7×の168Whだとしても大きいと思われます。ただし、ここまでの話はあくまで計算上の仮定・予測なので、実際に使ってみないとわからないというのが本当のところです。

ちなみに、このWh容量は、当該モバイルバッテリーの飛行機内への持ち込み可否を判断する際にも使えます。出力ポートの電圧ではなく、内部電圧の3.7Vで計算します。現在、国内線・国際線とも100Wh以下であれば個数制限なし、100~160Whは2個まで、160Wh以上は不可となっている航空会社が多いようです。電圧3.7Vで割り算すると、100Whは約27,000mAh相当、160Whは約43,000mAh相当になります。スマホタブレットなどの電子機器に内蔵されていない「予備電池」としてのバッテリーは、「預け入れ手荷物」として預けることができないので、手荷物の中に入れて機内に持ち込むことになります。一時期、バッテリーによる発火事故が相次いだ影響のようです。

そのほか電池容量の話として、ネットを見てみると6.0~17.4万mAh(222~624Wh)もの大容量のセル電池ポータブルバッテリーも発売されているようですが、まだ高価で大きさもそれなりにあるようです。ただ、このままバッテリーの技術が向上して小型化・長寿命化・低価格化が進むと、徐々に鉛蓄電池バッテリーのポータブル電源は、姿を消していくように思います。

 

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最後に、これは折り畳み式のポータブルソーラーチャージャーです。カタログ上は、5V 3ポート / 24Wの出力が可能な製品です。以前に比べるとかなり性能が向上しているとのことです。上の写真は、かなり日差しの強い日に使用した時のものです。モバイルバッテリー、iPhoneと他にUSB扇風機を接続して、合計で7.5~8.0Wくらい出ていました。高出力を得るには、強い日差しのほかに太陽光の入射角も重要なようで、時間とともに調整が必要です。それでも晴れていれば、キャンプなどには使えそうです。

近い将来、バッテリーや太陽光パネルの性能がもっと向上すれば、AC100Vコンセント電源がなくても昼間のうちに太陽光で充電して、夜間に天体撮影が可能になるのかもしれません。まだ太陽光の変換効率や充電時間などの点で厳しそうですが・・・

機材紹介 ポータブル赤道儀 K-ASTEC GF-50

ポータブル赤道儀のK-ASTEC GF-50です。タカハシのTG-SD?をベースにしたと思われ、なかなか堅牢です。極軸望遠鏡やガイドボートなども付加されています。以前、波照間島に遠征した時に持っていきました。本来は、ジンバル雲台と組み合わせての運用が想定されていたようです。私も当初、ジンバル雲台とのセット品を購入しましたが、ちょっとバランスがとりずらいなど使いにくい面があったので、色々と考えて以下のような運用になりました。

 

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Lブラケット MPB180T (BENRO)を使用してバランスをとる方法です。赤緯体は、パンニングクランプをかさあげして固定して、簡易に代用しています。かさ上げしたほうが、機材を乗せたときにちょうど良い位置でバランスが取れます。結果としては、変則的なジンバル雲台ということになるのかもしれません。バランスウエイトを必要としないことが、最大の利点と考えています。

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ユニテック製のダブル雲台ベースを使用してドイツ式赤道儀のように運用していた時期もありましたが、バランスウエイトを使用するか、もしくはほぼ同じ重量のカメラを両側につける必要がありました。波照間島にてこの形で運用した際に荷物の重量に悩まされたこともあって、Lブラケット方式に変更しました。

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Astro6Dとリボルビング装置やタムロンSP15-30mm F2.8など比較的重量のある機材でもバランスが取れます。いずれもクランプフリーでバランスが取れている状態です。GF-50の搭載重量は、3kgまでが推奨のようです。上の写真の組み合わせでは、おおよそ2.0~2.7kg(Lブラケット込み)くらいです。この他、シグマ 150mm EXDG APO MACROなども搭載することがあります。私の手動天体導入技術ですと、このくらいの焦点距離が精一杯です・・・

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この運用方法には、欠点もあります。機材を搭載した後に極軸望遠鏡をのぞくことのできる範囲がかなり制限されることです。機材を乗せる前に極軸を合わせてもずれてしまいますので、どうしても搭載後に極軸合わせをする必要があります。そこで、Lブラケットの先端にホームセンターで調達したL字金具をつけて、そこにポールマスターアダプターをつけました。回転軸からオフセットして取り付けることになりますが、使用可能です。厳密に極軸合わせが必要な時はこのようにします。ガイドポートもあるので、極のみのガイドもできます。ただ、搭載する機材の焦点距離を考えるとあまり厳密でなくてもよいと思われます。

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通電して恒星時追尾しているところです。消費電流は、0.10A前後ととても小さいです。乾電池ボックスも付属していますが、モバイルバッテリーで運用しています。ガイドポートは、ST-4互換で一般的なオートガイダーが使用可能ですが、ピンアサインが一部異なっているので、専用のケーブルを使用する必要があります。

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極軸部分には、ユニテック製の粗動回転装置がつけられるようにテーパーキャッチャーを取り付けています。K-ASTEC製の天文用アルカスイスクランプでLブラケットを強固に固定できます。

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三脚は、BENROのフラット三脚を使用することが多いです。フラット三脚は、名前の通りたたむとフラットになるので、カバンなどに入れやすいです。

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三脚とGF-50は、極軸高度・方位調整装置XY50を介して接続します。微動可能で、極軸合わせはとてもやりやすいです。もともとカメラネジの固定台がついていましたが、GF-50用の固定クランプを別途購入しました。GF-50を強固に固定することが可能で、着脱も楽です。

 

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波照間島にて撮影した、はくちょう座の中心部です。なかなか持ち出す機会がなくて、まだあまり使い込めていません。光害地ですとなかなか広角撮影もままなりません。せっかく追尾精度もよいのでもっと使ってみたいところです。

ただ、最近はハーモニックドライブを使用した赤道儀も少しづつ登場してきているようです。このような赤道儀が一般的になって普及価格帯になってくると、ポータブル赤道儀や小~中型赤道儀はとってかわられてしまうのかもしれません・・・

セレストロンC5の周辺像改善の試み

先日、セレストロンC5での天体撮影を行いました。概ね良好な結果だと考えましたが、フォーサーズフォーマットでも周辺像の肥大化や放射状の伸び(コマ収差)が目立ちました。少しでも何とかならないかと、検索して先人のお知恵を拝借させていただきました。反射式望遠鏡ビクセンR200SS用のコマコレクターを使用したコマ収差の試みです。同時に近接撮影用のクローズアップレンズを使用してレデューサー効果も試してみました。諸条件から今回は十分な検証ができているとは言えませんが、まとめてみました。

 

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使用したのは、現行品のコマコレクター3です。以前の商品とどの程度仕様が変わっているのかはわかりません。

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左(望遠鏡側)から、直焦ワイドアダプター60DX・EOS用、コマコレクター3、クローズアップレンズと接続します。外殻は、BORG7460(M60-M60AD)、M57延長筒M、BORG7424(M57-シュミカセAD)です。直焦ワイドアダプター60DXは、内側に補正レンズ用のM56ネジが切ってあります。外側は、M60接続です。コマコレクターの後端にはM52ネジが切ってありますので、クローズアップレンズはM52のものです。コマコレクターは、ギリギリでM57延長筒に収まります。内壁に擦れて傷がつくことはないようです。

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クローズアップレンズを使用しないときは、延長筒はSでもよいです。延長筒Mのままでも、もちろん合焦します。

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クローズアップレンズは、Kenko製です。参考にさせていただいた過去ブログではNo.3を使用されていたようですが、焦点距離短縮効果の評価のためにNo.4も取り寄せました。安価ですが、作りはしっかりしており、意外に重量もあります。番号が上がるほど近接効果がアップし、レデューサー代わりとして使用する場合は、焦点距離の短縮効果が上がるようです。

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 概ね無限遠と考えられる程度遠方にある電柱を撮影して、短縮率を評価しました。ステライメージの角距離計測ツールを使用して、電柱の幅や半円状付属物の直径など目印になる部分の距離を測って、主焦点との比率を評価しました。なるべく誤差を収束させるために10箇所計測して平均しました。結果は、純正レデューサーが約0.66倍、クローズアップレンズNo.3が約0.80倍、No.4が約0.73倍でした。今回は、純正レデューサーの倍率に近いNo.4を使用してみることにしました。

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同様にして、主焦点のコマコレクターありとなしを評価しました。コマコレクターの仕様に倍率変化なしとあるように、ぼぼ1.00倍でした。いずれもパッと見た感じでは、像質に目立った変化はないように感じました。ピント位置は、各々大きく変化します。

 

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昨晩も晴れたので星像評価のための撮影に行きました。先日と同じ対象で、まゆ星雲です。ただ、先日よりも月が明るく月没前に撮影したため、背景などを中心にかなり画質が変わってしまいました。風もやや強く、ガイドも甘くなってしまいました。観賞用としては不適ですが、何とか星像の評価には使えそうです。露光時間は先日とほぼ同じで、機材構成も同じです。月齢からするとナローバンドの方がよいのですが、なるべく同じ条件で比較したかったので、LRGBとしました。

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ガイド条件に違いがあるので正確には評価しがたいですが、印象ではコマコレクター+クローズアップレンズの方が、星像の肥大化は抑えられているようです。コマの改善に関しては、微妙なところです。

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L画像の比較でも大体同じような印象です。星像はややシャープになるようですが、コマの改善は今一つのようです。

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主焦点のコマコレクターありとなしのL画像です。風がやや強いのと焦点距離が長いので、15sのLivestackで40枚、露光時間10分です。F10とやや暗いので星の数が少なくてあまりはっきりしません。どちらもレデューサーやクローズアップレンズを入れた時よりは、コマ収差は目立たない印象です。これらの補正レンズのためにもともとあるコマ収差がより目立ってくるということはあるかもしれません。短縮率をあまり欲張らないほうが良いのでしょう。

以上、十分な検証ができたとは言い難いですが、おおよその結果です。過去の報告では良好な結果が得られているようなので、またトライしてみたいと思います。クローズアップレンズNo.3も試してみたいところです。

 

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主焦点 1250mm コマコレクターあり

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コマコレクター+クローズアップレンズNo.4

おまけですが、ピント合わせやアライメントの途中で撮影した月です。モノクロ1枚撮りです。主焦点コマコレクターありとコマコレクター+クローズアップレンズNo.4です。どちらもなかなかシャープだと感じます。やはり、C5は良好な中心像を生かして、月・惑星向きなのだと思います。それ以外の天体では、小さなフォーマットのカメラを使用して、系外銀河や惑星状星雲などの拡大を狙うのが良いのかもしれません。広い写野は、PROMINARやカメラレンズに任せるほうが良いのかもしれません。